vol.40-⑥ 考え方が間違っていた!?
- 2022年09月26日
- 所長の学び
前回の続きになります。
大前提とする考え方が間違っていたことを前回お話ししました。
しかし、間違いはそれだけではありません。
まだ2つの大きな間違いがあったのです。
それを今回と次回で一つずつ公開できればと思っています。
今回の間違いは、「考え方の間違い」です。
具体的にはどういうことかというと、
前回のブログで大前提の考えが間違っていたことが分かりました。
問題を作り出しているのは私たち支援者の方だと。
だから私たち支援者側が変わること、
意識を変えること、
心を変えることが大切だと分かりました。
しかし、それだけではダメだったことに経験を通して気付かされた、ということです。
つまりは、こういうことです。
大前提の考えを変えて、メンバーを対等な存在としてありのままを認めて、安心・安全の環境の中で寄り添い、共に悩み、考えていく。
(あーーー、とってもきれいな言葉。なんかイヤ)
そうすると、皆が主体的に働く事、より良く生きることに変化していくに違いない。
私たちはそれを信じ続ける。
そう思っていたのですが、実際はその姿勢や環境が苦しい方もたくさん出てきたのです。
やっぱり病気でいたい。
障害者でいたい。
自分は弱者なんだから助けて欲しい。
どうすればいいか指示して欲しい。
先回りして準備して欲しい。
言われないと分からない。
できれば楽をしていたい。
そして、
イロハニトイロという場所が、支援者の「良くなれ」という期待から逃れる“隠れ蓑(かくれみの)”として利用できる。
(主治医や支援者には「良くなりたいです」「仕事したいです」と見せておいて、本音は何もしたくない。怠けていたい。だからイロハに通えば、それが両方満たされる、怠けた自分を「就労支援施設に通い仕事に向けて頑張っている」を装ってごまかせる、ということです)
そういう方たちもいるということが分かったのです。
(いや、これも私たち支援者側が作り出しているのかもしれません)
これまでの辛い経験から、「良くなろうとする」ことの勇気をくじかれているのかもしれません。
支配される環境に慣れ過ぎている。
あるいはそもそも自身で考え動く能力が無い方もいらっしゃいます。
そうなると、このイロハの叱られないし怒られない自由な空間が「仕事をしない怠け者集団」に変わっていきます。
そして工賃は低くなっていくのです。
(実はここが大きなポイントなんですが、それは次々回に詳しく説明します。とにかくこの「仕事をしない怠け者集団」に変わることも必要だった、と頭の片隅に置いておいていただければ助かります。)
自分が希望して入所したまではいいが、
怠けられるラクな場所というイロハへの勘違いから、苦しみが生まれ、
結局自分が変わることをせずに、退所の道を選ぶ方がたくさんいらっしゃいました。
それは、入所してからイロハが「怠け者の楽園」ではなかったことに気付くからです。
(先ほどと矛盾したことを言っているように聞こえますね。「怠け者の集団」になることと「怠け者の楽園」ということは意味が違います。「怠け者の集団」は自然と生まれた一時的な集団です。「怠け者の楽園」は未来もずっと変わらない場所そのものの事です)
本当は「何もしたくない」「引きこもりたい」という方には、ちゃんと退所して引きこもって頂いています。
それがその人の願いだから。 決して責めたりしません。
(「(外部の影響で)引きこもらなければならなかった」のか「(自分が望んで)引きこもりたい」のかの判断は慎重にしないといけませんが)
もちろん、家から出て働きたくなったら、イロハが必要になったら、また来て欲しいことを伝えた上で。
あぁ、そういえば家族の強い意志でイロハ利用をやめさせるということもありましたね。
家族とすれば、働きに行って疲れて帰ってきて、家では穏やかにしていて欲しいと願うからでしょうか。
家庭の人間関係の問題をイロハの支援の問題にすり替えて、家族が退所させるなんてこともありました。
それだけイロハニトイロというところはこれまでの価値観とは違う事業所の為、誤解も生むし苦しみも生んでいるんだと思います。
この4年間で23名の方が退所されました。
(新しい仕事に就いた方は4名。他の施設に変わった方は6名です。ちなみに現在の通所者は26名。)
他の事業所のことは知りませんが、これはとても多いのではないかと思っています。
この数の多さからも、私たちの間違いが分かると思います。
辞めていった方々やそのご家族、他施設の支援者の方々がイロハのことを分かってくれないからいい。
理解してくれない人が悪い。
と言いたいのでは決してありません。
原因は私たちにある。
問題は私たちの中にある。
だから何が自分たちは間違っているのかをしっかりと考えて次に活かしていきたいと思っているのです。
この経験から何を学び、何を次につなげたのか。
それは、
通所する前にしっかりとイロハの厳しさやしんどさを知ってもらう事でした。
そして、
スタッフからもしっかりと言語化して、明確にイロハの事を見学者(体験者)に伝えることでした。
そして本人の理解と了解のもとでイロハを利用してもらうこととしたのです。
誰でも来ていいよ。
どんなあなたでも認められるよ。
(これだけでは誤解や間違いが起きていた)
だから
その補足として、「イロハの環境と考えをしっかりと納得し、今の自分に本当に必要な場所だと思ったのであれば…」を加えておきたいと思います。
このブログも、そのイロハの恥ずかしい部分の公開です。
しっかりその事実を受け止めて次に進みたいのです。
現在イロハに残っている方々はイロハニトイロという場所が本当に必要としてくださっている方々です。
長い方では4年になろうとしている方もいらっしゃいます。
その方々と共に、今大きく“働き方”を見直しているところです。
そのことをこのブログでは詳しく公開していきたいと思っています。
ぜひ「vol.40」、最後までお付き合いください。
イロハニトイロ所長
金村栄治